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  • 執筆者の写真peacecellproject

ドホーク滞在記その④ by 大谷賢治郎(演出家)

更新日:2023年12月3日


9 月 14 日、ワークショップ前半戦の最終日。

シンジャールという町から 2 時間かけてやってきたサンライズというNGOの若者たちとのワーク。彼らはヤジティ教徒で所謂少数派と呼ばれる人たちで、2014 年 ISIS(自称・イスラム国)によって虐殺された⺠族である。シンジャールは現在も治安が不安定で帰還困難地域となっており、今もなお多くのヤジディ教徒が国内避難民キャンプにて生活をしている。サンライズはそのシンジャールに於いて、未就学児のための幼稚園を運営する若者たちの集まりである。

ワーク開始早々からやる気や本気度がビシビシ伝わってくる。これまでのワークでも勿論参加者はやる気を持って参加してくれていたが、この朝の教室の熱気はこれまでのそれとは明らかに違う。特に印象的だったのは全員が常にノートを持ち、事あるごとに、また人によってはワークの内容を一字一句書き留める姿である。実践的なワークが多い中、身体を動かし、実践を試しつつ、「ちょっと待って」とノートに書き留める。しかも全員が。


彼らに耳を傾けると、「少しでも多く子どもたちに持ち帰りたい」「キャンプで生まれ育った子どもたちと一緒に遊べるワークを学びたい」とのことであった。子どもたちへの思いが、熱心なその姿に繋がっていたのであろう。こちらも熱が入り、引き出しの中にあるものを少しでも多く共有したく、予定の3 時間を超えるワークとなった。初めてのジャンケンに夢中になる彼らの姿を今もなお鮮明に思い出す。前半最終日にして、最も熱いワークショップとなった。

ワークショップ前半戦を終え、菜穂子さんの家で出前をとって遅めのランチで打ち上げる。ビールが最高に美味しかった。一気にここまで駆け抜けた分、正直無事の終わりにホッとする。ようやくドホークの街にも目を向けられるようになったのか振り返ると多くの街の写真を撮っている。


その日の夜は、PCP と共に事務所を構え、共に活動をする NGOアラインド若者の⺠主化支援団体の代表、シェルザッドさんに招かれ、たくさんの果物(特に柘榴)とビールで前半戦の終了を祝う。なぜか YouTube を見ながら菜穂子さんが昭和の歌を熱唱、横ではクルド人たちが黙々と果物を食べていた。蛍光灯の灯りの下、場末なカラオケボックスが生まれ、窓の外にはドホークの夜景が広がり、猫が時折なくという不思議な夜に。僕はなぜかお土産に大きなクルド自治区の旗をもらう。

15 日と16 日、金曜日と土曜日(イスラム教の国の週末は金・土曜日)は有意義な休日 を過ごす。ドホーク一と言われるレストランでの朝食、ショッピングモールでのお土 産の買い物、ドホーク(クルド語で二つの山という意味)の山の一つザワ山にロープ ウェイで登頂など。行くとこ行くとこ、「一緒に写真を」とせがまれた 2 日間であった。


最終回につづく)


▶️大谷賢治郎プロフィール 演出家。1972年東京生まれ。サンフランシスコ州立大学演劇学科卒業。青少年向け演劇から人形劇、古典劇から現代劇、地域演劇から国際共同制作まで、様々な演劇の演出を手がける。2017年から2021年までASSITEJ Internationalの執行委員を務め、若い観客のための演劇の発展に尽力した。また、東京国立博物館でのミュージアムシアターをはじめ、世界中の子ども、若者、様々な能力を持つ大人、専門家を対象とした様々なワークショップのファシリテーターを務める。現在、桐朋学園大学准教授、東京藝術大学非常勤講師、東京都立総合芸術高等学校特別講師。 X https://twitter.com/otanikenjiro instagram https://www.instagram.com/otanikenjiro/ facebook https://www.facebook.com/kenjiro.otani


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