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ドホーク滞在記その② by 大谷賢治郎(演出家)

更新日:2023年12月3日


9 月 12 日、ワークショップ 2 日目。

この日はアラビア語圏のモスールで農業支援や環 境問題の活動を行うIzdiharとクルド語圏であるドホークに於いてアラビア語を話す子どもたちのための教室もある公立小学校Dirok の先生たちとアラビア語通訳によるワ ークショップを行う予定だったが、モスルから来るはずのバスのドライバーが急遽派遣出来なくなり、公立小学校の先生たちのみとのワークに。家族や経済的な問題を抱える子どもたちと出来るワークはないかということで問題解決を目的とした演劇的ワークを実施。これまでにしたことのないワークに戶惑いながらも教育に於ける演劇の可能性を探ろうとする姿勢が窺える。


一方彼らの話に耳を傾けると、日本の公立小学校同様に仕事の多さ、時間に追われる日常、授業以外の活動として演劇とか取り入れたくてもその余裕も時間もないという現実、教材の不足、生徒数に対する教室や施設の狭さなど相当鬱憤が溜まっているようで、ワークショップ終了時の振り返りでも子どもたちと出来る実践的なワークよりも参加者自身が鬱憤を晴らすようなアイスブレイキングのワークが良かったという意見が多数、先生たち自身が抱えるストレスの解放の重要さを改めて確認する。


終了後の振り返りはダウンタウンのクルド料理屋で、日本でもここドホークでもストレスを抱える先生たちに対するワークショッププログラムも必要だなとみんなで話し合う。通訳のランドさんのお母さんもこの学校の先生でこのワークショップに参加、みんなで歩くのが一番楽しかったとか。クルド語、アラビア語の両方の通訳をこなす娘をきっと誇りに思ったことだろう。


昼食後、地元の市場へ。ローカルな活気を味わう。野菜、石鹸、香辛料、お菓子、日常品がところ狭しと並べられる市場、色々な人や物がごちゃ混ぜに混在するカオス感、この土地に生きる人たちのエネルギーを感じる。


ホテルに戻った後、少し休憩、宏平くんと合流しサクッと夕飯、「ドラ息子」について言葉を交わし、早めの解散、疲れた体をベッドに委ねる。


その③につづく)


▶️大谷賢治郎プロフィール

演出家。1972年東京生まれ。サンフランシスコ州立大学演劇学科卒業。青少年向け演劇から人形劇、古典劇から現代劇、地域演劇から国際共同制作まで、様々な演劇の演出を手がける。2017年から2021年までASSITEJ Internationalの執行委員を務め、若い観客のための演劇の発展に尽力した。また、東京国立博物館でのミュージアムシアターをはじめ、世界中の子ども、若者、様々な能力を持つ大人、専門家を対象とした様々なワークショップのファシリテーターを務める。現在、桐朋学園大学准教授、東京藝術大学非常勤講師、東京都立総合芸術高等学校特別講師。


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