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絵本と演劇で紛争を止める

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対話は

困難の

極み

一般社団法人ピースセルプロジェクト代表理事

髙遠菜穂子

「復讐されるから村には帰れない」

IS掃討作戦中にイラク軍に捕まり、少年院でリハビリを受けていたIS子ども兵たちは、テロ組織に入った理由を、「父親の仇」「兄の仇」「金が欲しかった」などと小声で語った後、最後にそう言った。

 

 対テロ戦争とそれがもたらした内戦の被害者が加害者になり、その被害者が加害者に襲いかかるかもしれないという文字通りの「負の連鎖」。イラクの人々の間に遺された分断の複雑さとその根深さ。長期戦の後の解放感に浸る人々の笑顔の向こうに、次の紛争の影が見え隠れしていた。このまま分断を放置すれば次の紛争は間違いなくやってくる。

 

 戦闘がない“平時”にこそ、戦争に向き合い、対話を促し、紛争予防に力を注がなければならない。リハビリを終えた元子ども兵たちが村八分にされ、仕事に就けなければ、生きるために再び武装勢力に入ってしまうこともあるだろう。そして、再び苦しむのは自分たちなのだ。冒頭の言葉はずっと私の頭の中にあり、それがピースセルプロジェクトを作るきっかけになった。

 そうは言うものの、受け入れ側の心情は今も悲痛だ。「赤ん坊に罪はない」と言った私に、モスルの友人は「ISの子どもはISだ」と語気を強めた。彼女がISによってどれだけ傷つけられ、愛する人たちを失ってきたかをよく知っている私は、彼女の理不尽な言葉にショックを受けながら同情した。

 

 彼女はISに親を殺された子どもたちの支援を今も続けている。ある少女は、ISの集団処刑が行われた工場跡で、父親の亡骸の腕の中で発見された。「この子は3日間ずっと死んだ父親の腕の中にいたの。今も深刻なPTSDに苦しんでいるわ」と彼女は言った。

 IS戦闘員の妻や子どもたちは、イラクとシリアの国境沿いのアルホルキャンプや刑務所で隔離されている。主にシリア国籍とイラク国籍で4.3万人(2024年3月現在)、50カ国近くの外国籍者も数千人いるが、市民権を剥奪されたケースも多く、帰還の見込みはほぼない。

 

 一方、イラク政府は2021年1月から現在(2023年末)までにイラク国籍者およそ1万人をイラク領内のキャンプに移送した。そこで3〜6ヶ月のリハビリを経て、自分の出身地に戻るという流れだ。しかし、帰還後もIDカードが発行されず、教育や医療など基本的な公共サービスを受けられなかったり、受け入れ側の拒否や村八分に遭うケースも少なくない。

 

 昨年(2023年)10月から11月にかけて、かつてのIS支配地域を訪ねた。「ISファミリー」と呼ばれる女性たちは、「ISに加入した夫と絶縁しても差別されていると感じる」と訴えた。短期間に引っ越しを11回もせざるを得なかったという女性もいた。「ISファミリー」というスティグマ(烙印)は一生消えないのだろうか。

武力ではなく対話を。

これは間違いない。

しかし、根深い分断の世界では

対話を始めることさえ難しい。

対話は簡単には交わらない。

対話は困難の極みである。

それでも、対話を試みなければ人類は終わる。​​

対話での紛争解決に足りないものを探求する。

それが、ピースセル=平和細胞の活動なのだ。

PEACE CELL INTERVIEW
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"アートは心に傷を負った人に必須のもの”

平田オリザ

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