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🌟第3号メールマガジン配信🌟 絵本と演劇で紛争を止める 現場密着キャンペーン

  • 執筆者の写真: peacecellproject
    peacecellproject
  • 3 日前
  • 読了時間: 9分
「演劇」の力で紛争地の未来を創りたい!私たちはそう願っています。
「演劇」の力で紛争地の未来を創りたい!私たちはそう願っています。

【第3号メールマガジンの内容】

・どうして「紛争予防」に「演劇」なのか

・国立ドホーク大学人文学部平和・人権学科 ”紛争予防ワークショップ”って何?


こんにちは!

一般社団法人ピースセルプロジェクト(以下PCP)インターンの三溝亜優と申します。

日頃よりPCPの活動を応援して下さり、誠にありがとうございます。


本日は、イラクの平和構築の「今」を濃く、近く、深く、深く伝える「絵本と演劇で紛争を止める ―現場密着キャンペーン―」のコンテンツとして、メールマガジンの第3号を配信します!

お時間のある際に、是非ご覧ください✨



【どうして「紛争予防」に「演劇」なのか】

▶紛争後に色濃く残る、人と人との間の分断。対話を行うために、必要なこととは―。


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「紛争予防」「平和構築」という言葉を聞くと、何を思い浮かべますか?

調停・仲介、武装解除、和解、社会再統合、経済の活性化、、、

「演劇」と答える人はあまりいないのではないでしょうか。


ではなぜ私たちは、紛争地イラクの紛争予防や平和構築において演劇を用いるのか。

それは演劇が、人と人との間の分断が深く残る紛争後の社会において、

「絶対に分かり合えない」と感じる他者との対話を行うためのヒントを教えてくれるからです。


22年間イラクで人道支援に携わる当団体代表理事・髙遠。紛争後の社会では「対話は困難の極み」であると感じていました。


そのような中で出会ったのが、福島県立ふたば未来学園の演劇教育。

高校生たちが、地域の関係者への取材を通して、原発問題をもとに演劇を創作していました。


福島県立ふたば未来学園の英語・演劇教諭の齋藤夏菜子先生は、同校の演劇教育について、11月27日開催の第2弾キャンペーンイベントで以下のような趣旨を述べています。


震災当時は、東京電力の社員さんと原発事故によって避難した方、原発事故により家族の安否を確認しにいくことができなかった方たちなど、立場の異なる方たちの対話はあり得ませんでした。


ところが震災後何年か経った後、生徒たちの演劇を観た後のことです。彼らが自身らの経験を振り返りつつ、客席の方でお話をされていて、

すごく価値のあることをやっているのだと実感しました。


演劇的手法を用いたワークショップは、

「対立する価値観や痛み(人の心)を、作品という媒体を通して共有し、観客(社会)の中に「対話」の場を立ち上げる紛争予防のための強力なツールである」と強く感じています。


またこの演劇教育を通して、生徒たちには二つの変化がみられました。

一つ目は、生身の人間との対話から、実際に当事者を演じることを通して、地域課題を自分事として捉える力

二つ目は、他人の立場に立って物事を考える力、エンパシー。演劇の中で他者に成りきるためには、様々に想像力を膨らませ、他者の気持ちを考えないといけません。

生徒からは、授業を通して、自分の身の回りにいる他者の背景について、知りたいと思うようになった、という声が寄せられており、

授業後も生徒の中でエンパシーが育っていることがわかります。


震災と原発事故を経験した福島県・双葉郡での、複雑な地域課題にアプローチする演劇教育。

「これであれば、もしかしたら紛争地でも対話が可能になるかもしれない。」

そう感じた髙遠は、イラクにおける演劇的手法を用いたワークショップ実施を決断します。


紛争後の修復不可能だと思われるほど分断の深まった社会では、紛争当事者同じテーブルに座わることすら難しい状況にあります。

仮に客観的・理論的に「正しい」和解ができたとしても、人々の間のわだかまりは残り続け、ふとしたことをきっかけに、次の紛争の原因となってしまいます


紛争地イラクでは、「絶対に分かり合えない」と思える相手に対しても、相手の立場を想像し、「相手の靴をはく」ことのできる人材を育てることが喫緊の課題なのです。


こうした中で、私たちはイラクの若者たちに対し、

「演劇」を用いて、相手の立場に立って物事を考える力である「エンパシー」を育む活動を行っています。


人と人とが武器を持たずに対話をし、共に未来を創り上げていくための素地をつくる。

これは、「平時」のイラクで、恒久的な平和を築くための基盤づくりといえるでしょう。



【国立ドホーク大学人文学部平和・人権学科 ”紛争予防ワークショップ”って何?】

▶真の意味での「紛争解決」ができる人材を育てたい


紛争予防ワークショップに取り組む平和・人権学科の生徒たち
紛争予防ワークショップに取り組む平和・人権学科の生徒たち

これまで同学科のファシリテーションの授業は座学が中心であり、実践的な学習ができていないことに現地の大学教員も頭を悩ませていました


こうした中で私たちは、「ファシリテーター養成カリキュラム」を同学科の正式な授業として新設すべく、「紛争予防ワークショップ」と名付けたワークショップを現地の学生・教員・日本の専門家とともに作り上げています。


ここでは実践的・主体的な学習を通して、学校、職場、病院など、日常のあらゆるところに発生する紛争と分断を繕うことのできるファシリテーターの育成を目指しています


PCPが新設を進めている「ファシリテーター養成カリキュラム」

どのような授業なのでしょうか。


カリキュラム内で実施するワークショップには、特に重要なポイントが二つあります。

一つ目は、心理的安全性を確保し、信頼関係を育むことです。

コミュニケーションの半分以上は身体表現だと言われています。

コミュニケーションワークショップでは、体を動かすアクティビティを行い、心理的に安心できる場づくりに取り組みます。参加者同士の交流を促進するとともに、自己表現や他者の表現を尊重し、受け止め合うことを目的としています。


実際にドホーク大学で実施したコミュニケーションワークショップとしては、以下のようなものがあります。


競争の要素があるゲームが大好きな学生たち。参加者を二つのグループに分けて行ったピンポンボール運びでは、それまで全体的に大人しかった生徒たちが、お互いに声を掛け合い、大きな歓声をあげながら、ゲームに取り組んでくれました。


また、参加者を二つのグループに分け、片方のグループにスパイや弁護士などの特定の職業を演じてもらい、もう片方のグループにその職業を当てるジェスチャーゲームも行いました。

このゲームを通じて、参加者は自らを表現し、それを相手に受け止めてもらう体験をしました。


二つ目は、演劇を用いて安全に対話を深めていくことです。

コミュニケーションワークショップで参加者の心理的安全性が確保されたら、次は演劇を用いて、小場面を演じます。

テーマは、「身近な紛争」や「学校で困ったこと」など、日常のあらゆる場所で起きる紛争を想定します。

ここでは、あくまでも疑似的な紛争を演劇を通じて安全に経験し、様々な和解方法をここで実際に試すことができるのです。

また、理論的・客観的に正しいとされる紛争解決の手法が、必ずしも上手くはいかないことを体感してもらいます。



ドホーク大学では先日、"Lemon Conflict"という名の演劇ワークショップを実施しました。


"Lemon Conflict”の準備を行うPCPスタッフ・類家
"Lemon Conflict”の準備を行うPCPスタッフ・類家

~Lemon Conflict シナリオ~

午後10時、閉店間際のスーパーマーケット。そこに二人の人間が駆け込んできます。

1人は重い病気を患った祖母に、レモンを買ってくるよう、頼まれました。

もう1人は、重い病気を患った妹のために、レモンを買いに来ました。

2人とも、今すぐ、レモンが必要です。

しかしレモンはあと一つ。

さて、どうするか。

それぞれの役を演じた生徒たちは、役になり切り、激しい口論を繰り広げました。

スーパーマーケットの店員さんに、「私の祖母はたくさん土地をもっている。レモンをくれたら、一部をあなたにあげても良い。」と畳みかける場面も見られました。


日本におけるワークショップでは、すぐに遠慮することなく、主張の異なる相手としっかりと向き合うことが求められます。

一方で、イラクでは一方的に自らの主張を押し通すことや議論に「勝つこと」に固執するのはなく、主張の異なる相手の話を聞き、対話の糸口を探すことが求められます。


このワークショップでは、1回目のlemon conflictは決裂しました。一方で、参加者同士での話し合いを終えた2回目のlemon conflictでは、1人の祖母にはレモンの身を、レモンの香りを嗅ぎたいというもう片方の妹にはレモンの皮を渡すことで、lemon conflictが解決されました。



この紛争予防ワークショップでは、既存の授業とは異なり、「先生」というものは存在しません

代わりに存在するのがファシリテーターです。今学期はPCPスタッフの類家が務めました。


授業の主人公は生徒たち自身です。彼らが実際に生身の人間としてお互いに働きかけることによって、コミュニケーションスキルや紛争が起きた際のファシリテーションの手法を身に着けます。


ファシリテーターは一方的に何かを「教える」のではなく、ここで起きる生徒たちの間の化学反応を促進させる役割を持ちます。

生徒たちの反応に合わせてワークショップの内容を設計し、全員が主体的に取り組めるよう、様々な工夫を凝らすのです。


日本以上に上下関係が大切にされているイラクでは、

「先生」が生徒の目上の存在としての立場から一段降りて、生徒たちと向き合うことが難しいこともあります。

私たちは、如何にしてこの「紛争予防ワークショップ」を現地で受け入れてもらえるか、日々模索しながら活動をしています。


今後のメルマガではこのメインファシリテーターの役割を掘り下げる回も設けますので、

どうぞお楽しみに!


最後までお読み下さり、誠にありがとうございました!



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次回予告✍

次回は🌟特別編🌟

学校、職場、病院…。人が集まる場所には、紛争はつきものです。

度重なる紛争を経験したイラクでは、このような「小さな紛争」がふたしたことをきっかけに、多くの人を巻き込む紛争へと拡大してしまいます。


次世代を担うイラクの若者から、平和の担い手を育てるために。

イラク全土に、恒久的な平和をもたらすために。

私たちが掲げる未来構想をのぞき見します👀

次回もお楽しみに!


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