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緊迫する中東情勢の中で迎える「世界難民の日」。

  • 執筆者の写真: peacecellproject
    peacecellproject
  • 6月20日
  • 読了時間: 4分

緊迫する中東情勢の中で迎える、2025年6月20日「世界難民の日」。


イスラエル・イラン双方で発射するミサイル/ドローンは、

我々PCPが拠点を置くイラクの頭上を通り過ぎ、

多くの人々の命を奪っていっています。

パレスチナのガザでは、

支援物資を止められ、飢餓に喘ぎ、銃弾を浴びせられ、

爆弾が市民の上に降り注いでいる...。

いつも大きな流れに巻き込まれ、

命と大切な人々を失うのは一般市民です。


◆◆◆イラク・シリア難民キャンプでの心理社会支援◆◆◆

PCPは、そういった戦争に巻き込まれ、

難民となった方々への支援を行なっています。

その一つが、イラクのシリア難民キャンプで週1回、

女性を対象に行なっている社会心理支援です。


もう10年以上もキャンプでの生活を続ける女性たち。

ズンバとピラティスのクラスを提供することで、

心理的負担やストレスを減らすことができればと考え、プロジェクトを始めました。


クラスに参加した女性からは

「心が軽くなり、とても明るい気持ちになった!」

「もっと日数を増やしてほしい」

という言葉をいただいています。


しかし、シリアへの帰還意向を尋ねると、質問をした全員が

「情勢が不安定で危険すぎるため、帰ることはできない」

と語ります。


政権が新しくなったばかりで、

多種多様な民族・宗教の方々が暮らしている中、

まだまだ安定したとは言い切れない状況です。

ピラティスのクラスを受けるシリア難民キャンプの女性たち(イラク北部ドホーク郊外)。この心理社会支援プログラムはWellbeeフィットネスクラブとの協働で行っている。
ピラティスのクラスを受けるシリア難民キャンプの女性たち(イラク北部ドホーク郊外)。この心理社会支援プログラムはWellbeeフィットネスクラブとの協働で行っている。
ズンバのクラスを受けるシリア難民の女性たち
ズンバのクラスを受けるシリア難民の女性たち

◆◆◆トルコ・シリア難民の子どもたちの識字学習◆◆◆

トルコ・アディヤマンでは、約2年に渡って、

被災したシリア難民のご家族・子どもたちの支援を行なっています。


彼らは「難民」であることを理由に日常の中で困難にぶつかります。

いじめや差別はその一つです。


難民への敵対的な感情が高まると、

難民の方が営むお店が破壊されたり、

激しい暴行を受けるなどの排斥運動に繋がります。


「同胞に銃を向けたくない」

という理由でシリア内戦を逃れた男性は、

トルコで高まった2024年のシリア難民排斥運動を背景に、

母国に帰ることを決意しました。


安全を考え、先に妻や子どもたちを送り出しました。

家族と離れ離れになったあとの彼は抜け殻のようでした...。


「友人、子どもたち、家族が宝です」

と語る彼の悲しそうな顔は忘れることができません。

失意の中、彼は渡航資金を稼ぎシリアに帰りました。

彼を待っていたのは家族ではなく、刑務所でした。

徴兵に背いたために、服役をしなければいけなかったのです。


シリアには悪名高い刑務所がいくつもあります。

彼は約1ヶ月収監されましたが、

政権が変わったことで出所をすることとなりました。


再び家族に会うことができた彼の顔は、

極限の疲労と安堵がない混ぜになったものでした。

家族と離れ離れになる、故郷に帰ることができない...。

難民として生きる方々は、想像を絶する困難を抱えられています。


母国語のアラビア語を子どもに読み聞かせするお母さん。「何て読むの?」と質問する子どもに、お母さんは嬉しそうに答える。(トルコのアディヤマンにて)
母国語のアラビア語を子どもに読み聞かせするお母さん。「何て読むの?」と質問する子どもに、お母さんは嬉しそうに答える。(トルコのアディヤマンにて)

◆◆◆紛争を予防する活動にご参加ください◆◆◆

PCP代表の髙遠は、昨今の中東の緊張の高まりと大国の動きを見て

「イラク戦争前のようだ」

と語ります。


2003年3月20日、「テロ組織とのつながり」「大量破壊兵器の保有」を理由に、

米英がイラクへの先制攻撃に踏み切りました。

しかし、それらを裏付ける決定的な証拠は見つからず、

米大統領は「誤った情報だった。責任は私にある」と言い、

英首相は「イラク戦争は誤っていた」と謝罪するに至りました。


間違った戦争と、ずさんな占領政策で、

分断を煽られたイラクは内戦状態へと突入。

数多くの武装勢力がイラクを跋扈するようになり、

過激組織ISIS(自称イスラム国)も生まれることとなりました。


2003年から2017年までで、20万人以上の市民が亡くなり、

現在も100万人以上の人が故郷に帰ることができない状況です。


イラクの二の舞を演じてはならない。


家族と離れ離れになる、

故郷を追われる人たちをこれ以上増やさないようにしたい。

私たちピースセルプロジェクトの切なる願いです。


紛争予防は足元からです。

紛争予防に必要なのは、

わかり合えない相手と向き合う力"エンパシー”です


私たちは、分かり合えない当事者間の対話を可能にするため、

エンパシーを高める活動を広めています。


「絵本と演劇で紛争を止める」

とっても小さなことに思えるかもしれません。

しかし、絵本と演劇はエンパシーを高めるために必須な活動です。


「私は平和細胞でできている」

そう言える仲間を増やしていきたい。

これを読んでいる皆様には、

平和細胞を拡散する仲間になっていただきたいのです。


緊迫が続く中東イラクより祈りを込めて...





 
 
 

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