こんにちは。PCPの髙遠です。
今日はPCPを始めたきっかけを少し書きたいと思います。
イラクでは、終わりが来ないと思えるほど絶望的な惨状が続きました。 一旦戦火が収まったかに見えても、 分断が深まったり、新たな分断ができたり、 また同じように暴力が繰り返されました。 いつも薄氷の上を歩いてるような感覚はなんとなく拭えない感じは、正直、今もあります。
2016年10月から始まったIS掃討作戦は本当に長期で過酷で、 本当に悲惨な現場でしたし、かなり緊張もしてました。 翌年の大規模戦争終結の時には、私も疲弊してしまいました。
どうしたら戦争はなくなるのだろう。 どうやったら止められるのだろう。 テクノロジーは進化しても、 殺戮を止める方法を人類はいまだ持ち得ないのはなぜだろう。
考えれば考えるほど辛くなってきて、 自分が今生でやるべきことも見失いかけました。 燃え尽きちゃったんでしょうね。 気力も湧かず、部屋に迷い込んだ鳥を見て号泣したりして、 戦争を憎んで、戦争する人を憎んで、 仕方ないと諦める人を憎んで、 止められない私自身を憎んで、人間を憎んで、 もうイラクでできることはないとさえ思ったりもしました。
そんな時、IS恐怖支配から逃れてきた国内避難民や シリア内戦を逃れてきた難民の人たちが大勢暮らすクルド自治区のドホークで、 ある言葉に出会います。
「表面上は多様性のある町になったが、本当にお互いを受け入れ合える真のダイバーシティを作ることをやってみたい」
驚きました。 クルド自治区はとても保守的な印象があったからです。
その後、帰国した私は国際理解の授業で福島県のふたば未来高校を訪れることになります。 授業の後、生徒たちが1年かけて取り組んだという演劇を3つ観せてもらいました。 衝撃でした。 すべて原発に関連することでした。 一般的に大人が触れたがらないことも生徒たちは真っ向から向き合っていました。
これだ、これをイラクでやりたい。
この時に、平田オリザさんと出会い、一気に道が開けてきます。
私のそれまでの人生に「演劇」というワードは一度も出てきたことはありませんでした。 最も縁遠いものだったと思います。
でも、福島のこの高校で、演劇が人間にもたらすものを知った時、それは特別なものではなくなりました。 人間に必要不可欠なもの、とさえ思ったのです。
この映像は、なぜ演劇を取り入れたコミュニケーションワークショップが大切なのかがとてもわかりやすくできています。
お世話になっている夏菜子先生のお話がとても素敵です。 全国から教育関係者の見学が絶えないのも納得です。
PCPがイラクで取り組んでいるのが、コレなんです。 演劇的手法を使ったコミュニケーションワークショップ。
PCPについてはこちら↓ https://www.peacecellproject.org/
先日は、PCPの演劇チームが東京都内の高校に出向いてワークショップを2回に分けてやってきたばかりです。 イラクだけでなく日本でも広げていきたいのです。 むしろ、日本の方が必要なのかもしれないと最近は思ったりもします。 ご興味持たれた方、ご一報くださいませ。
追伸:オリザさんの講評の時、私の後ろ姿も映ってます笑 わかりました?
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